Renal Vascular disease
自覚症状としては、高血圧、血尿、腹痛、腎機能低下、瘤破裂による出血性ショックなどですが、一般的に自覚症状を呈するものは半数以下です。
血圧上昇は腎動脈分枝の屈曲や動脈瘤内の血液乱流、腎動脈遠位側の閉塞などが原因です。腎動脈瘤の破裂は稀であり、近年は10%未満と報告されています。しかし、動脈瘤径が2cm以上や、妊娠女性では破裂の頻度が高いとされています。無症状であっても瘤径2cm以上、画像上増大傾向が認められる場合、さらに腎動脈瘤の急性解離を起こした場合は、出血予防のために治療適応となります。
サイズが小さく無症状であれば、血圧管理を行いながら定期的画像評価による経過観察を継続します。それ以外の場合は、腎動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization : TAE)または外科的加療を選択します。
1. 腎動脈塞栓術(TAE) 腎機能を温存するために瘤内を金属コイルで満たすpacking法が用いられます。瘤のみの塞栓が理想的ですが、瘤からの分枝を温存することが困難な場合もあります。瘤への流入口が広い場合は主幹動脈への金属コイル脱落の危険性が増すため、TAEの適応外となることもあります。
2. 外科的加療 TAEの適応外となった場合は、外科的加療となります。可能な限り体内での動脈瘤壁切除、縫縮を計画しますが、体内での血行再建が困難な場合は同側の内腸骨動脈片を用いた自家腎移植なども考慮します。
比較的稀な疾患で、先天性、後天性、特発性がありますが、後天性が約7割を占めます。後天性の原因としては医原性腎損傷が多く、針生検や腎部分切除後などに見られます。画像上は、毛細血管を経ずに屈曲蛇行した異常血管を介して動脈と静脈が連結した蔓状型と、動脈と瘻孔を形成した静脈の瘤状拡張を呈する動脈瘤型に分類されます。
多くの症例では無症状であり画像診断で偶然発見される場合が多いです。動脈瘤型の多くは無症状であり、蔓状型の約7割に肉眼的血尿を認めます。
腎針生検後の7割は1年半以内に自然消失するため、無症状であれば経過観察をします。しかし、肉眼的血尿が高度である場合は、TAEを考慮しますが、効果がない場合や血尿が再発する場合は外科的加療へと移行します。
腎動脈の本幹やその分枝が塞栓や血栓で閉塞し、その末梢の腎実質が壊死に陥ります。塞栓の9割が心房細動や心弁膜症が原因で、血栓の原因としては腎動脈の粥状硬化や線維筋性過形成、血管炎、外傷などあります。
発症後6時間以内は、抗凝固薬の腎動脈内注入や血栓除去が行われます。腎動脈に異常を認める場合は外科的血行再建術も考慮します。