頭部外傷(外傷性脳損傷)
頭部外傷 (外傷性脳損傷)とは
ヘルメットおよびシートベルト着用の義務化により、かつての交通戦争時代における頭部外傷は年々減少傾向にあります。一方、高齢化社会の到来で、近年は転倒や転落による頭部外傷が問題になっています。高齢者の方は余病が多く、頭部外傷後の治療には専門的な対応が必要です。また、児童虐待による頭部外傷やスポーツにおける脳震盪、高次脳機能障害など、解決すべき問題が多い分野です。
頭部外傷のエビデンス
本邦における重症頭部外傷のビッグデータとして、頭部外傷データバンク(プロジェクト1998、プロジェクト2004、プロジェクト2009、進行中のプロジェクト2015)があり、重症頭部外傷治療?管理ガイドラインの根幹となっています。治療困難な重症頭部外傷に対する指針として、今後も臨床データの蓄積が期待されています。
頭部外傷の検査
頭部外傷の検査として、①頭部CT、②頭部MRIを使用します。また、血管損傷が疑われる場合には、③三次元CTアンギオグラフィーや④脳血管撮影を行ないます。
頭部外傷対象疾患
- 急性硬膜下血腫
- 急性硬膜外血腫
- 脳内血腫、脳挫傷
- びまん性脳損傷
- 慢性硬膜下血腫
- 頭蓋骨骨折(線状骨折、陥没骨折)
- 外傷性髄液漏
- 外傷性頸動脈海綿静脈洞瘻
- 脳震盪
- 高次脳機能障害
- 脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)
当院の治療方針
当院では、救急搬送における急性期疾患や治療困難例など、積極的に頭部外傷の患者さんを受け入れております。また、各科と協力しながら、二次性脳損傷(脳浮腫、脳ヘルニア、脳虚血)を予防するより良い治療を提供し、術後のリハビリテーションや退院後のサポートを行っています。
研究活動
- ラットやマウスの外傷性脳損傷モデルを用いた基礎実験(法医学講座との共同実験)
- 重症頭部外傷や慢性硬膜下血腫再発に関する臨床研究