超音波気管支鏡(EBUS)を用いた気管支鏡検査

肺癌が胸部画像で疑われた場合,確定診断のために気管支鏡やCTガイド下肺生検、外科的生検などが行われます。この中で最も広く行われている検査は気管支鏡検査です。
気管支鏡検査はX線透視を用いた従来の経気管支肺生検では正診率が30?50%といわれており満足のいくものではありませんでした。肺癌治療とくに非小細胞肺癌の治療に関しては組織型のみならずEGFR遺伝子変異を代表とする遺伝子変異の検討も重要であり、そのためには気管支鏡検査の正診率を向上させるとともに癌組織の検体採取量を増やす必要があります。これらを解決する方法の一つとして超音波気管支鏡(EBUS)があります。

 

超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)

EBUS-TBNAは気管?気管支周囲の病変に対してリアルタイムに針生検を可能とした手技であり、挿入部先端外径が6.9mmのコンベックス走査式超音 波気管支鏡(図1)を用いて行います。
気管支鏡と超音波が一体となった内視鏡であり、視野方向が前方斜視35°となっていることが特徴です。超音波機能はBモードの他パワードップラーおよびカラードップラーモードを備えており、穿刺ルート上の血管を避けて安全で確実な穿刺が可能です(図2)。当科での正診率は90%であり、全国的に見ても高い正診率であり、多くの施設に対して手技の指導などを行なっています。

超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)

図1

超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)

図2

 

ガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)

肺末梢病変に生検鉗子などが到達したかの確認は以前よりX線透視を用いて行われてきました。この方法では縦隔や横隔膜に隠れる病変、小さい陰影などの位置 確認は困難であり、さらに生検や擦過の操作後に出血や気管支粘膜の浮腫などがおこった場合同一の気管支に複数回鉗子やブラシを挿入することが困難でした。EBUS-GSは外径1.4mmの細径超音波プローブにガイドシースをかぶせて病変まで誘導しEBUSにて病変に到達したことを確認後、プローブのみを抜 去し残したガイドシースに生検鉗子やブラシを挿入することで同一箇所で何度でも生検や擦過が可能となりました(図3)。当科では末梢病変に対してほぼ全例 EBUS-GSを行っておりEBUS-GS導入前と導入後の正診率の比較検討では導入後で正診率は50%から90%と有意に向上しています。今後は肺癌のみならずその他の肺病変の診断にも有用と考えられ積極的に用いていきたいと考えています。

ガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)

図3

 

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