レジメン審査室の役割
レジメン審査室では、東京女子医科大学病院の各診療科から申請されたがん化学療法レジメンを医学的および科学的観点から審査しています。その目的は、レジメンの妥当性および安全性を確保し、がん患者さんに最善の化学療法を提供することです。
レジメンとは?
レジメンとは、端的に言うと抗がん薬の投与計画書です。どのような種類のがんに、どのくらいの量を、どのような経路で投与するか、投与時間(速度)や投与スケジュール(総コース数など)抗がん薬の減量および中止基準、想定される副作用に対する対処法などが詳細に記載されたものです。
レジメンはなぜ必要?
レジメンを作成する最大の目的は安全かつ最善ながん化学療法を実施することです。抗がん薬は一回の投与量、投与方法、投与間隔などが厳密に規定されています。また、同じ抗がん薬でも疾患の種類によって、あるいは他の抗がん薬と併用する場合などで、投与量、投与間隔、休薬期間が異なることが少なくありません。抗がん薬は毒性の強いものが多く、定められた方法で使わないと重大な副作用を生じることがあります。最悪の場合、患者さんの命にかかわることもあります。そのため、あらかじめ投与計画書であるレジメンを作成し、「ひな型」を作っておいて、それを電子カルテ上に登録しておきます。患者さんに投与する際には、その「ひな型」に必要な情報を入力し、規定通りに使用されることが確認されてはじめて、抗がん薬の投与が可能となります。例えば、ある患者さんに投与する抗がん薬の量を間違って入力してしまうと、警告メッセージが出て、修正しない限りは、治療ができない仕組みになっています。
レジメン審査の実際
レジメン審査を行うレジメン審査委員は、がん化学療法を専門とする医師、薬剤師、看護師、管理栄養士など多職種から構成されています。各委員は、提出されたレジメン申請書類について、それぞれの立場から、詳細かつ厳格に審査します。審査の際には、提出された資料をもとに、申請書に記載されている薬剤の投与量、方法などに誤りがないかを慎重に確認します。さらに根拠となる論文のエビデンスレベルを判定し、また、国内外のガイドラインなどを参考にします。
増加するレジメン審査件数
本レジメン審査室が設立されて以来、年間のレジメン審査件数は100件以上に達しています。多くの新薬の登場により、申請件数は、近年増加傾向にあり、2021年には合計163件でした。当院で実際に使用されている総レジメン数は、年間およそ300です。レジメンを使用して実施されたがん化学療法件数は、延べ1万件を超えております。患者さんに安全かつ最善ながん化学療法を提供できるように、レジメン審査室は、今後も活動してまいります。