ジストニア(書痙など)
ジストニアの治療
身体が意思とは関係なしに動いてしまう状態のことを不随意運動といいます。
ジストニアという病気は、無意識に筋肉がこわばってしまう不随意運動の1種です。
全身のあらゆる筋肉にジストニアは発症します。
ジストニアは、ジストニアの症状の分布に基づいて、局所性ジストニア、全身性ジストニアなどに分類されます。
ジストニアの症状は、手や足、首や体幹など様々な箇所に発症しますが、その原因は脳からの指令の異常にあります。
つまり、ジストニアは脳の病気なのです。
局所性ジストニア
書痙、音楽家のジストニア(職業性ジストニア)など
局所ジストニアには、字を書くときに手がこわばる書痙、楽器を演奏するときに指や手首が曲がったり、伸びたり、こわばったりする音楽家ジストニアなどがあります。このような手に発症するジストニアは、繰り返し同じ動作を長期間行いつづけることで発症します。そのため、繊細で繰り返し反復訓練を要するような音楽家などの動作によく発症します。音楽家(あらゆる楽器で発症します)以外には、美容師、大工、漫画家、歯医者、時計修理士など多種多彩です。これらのジストニアは、一般的にボツリヌス毒素や内服治療が行われますが、効果は限定的で、改善は困難とされています。当科では、約15年前より視床に凝固巣を作成することで症状が劇的に改善することを明らかにしました。手に発症する局所ジストニア(職業性ジストニア)の治療では、現在海外を含めてこの治療を行いうる施設は当科のみで、この分野では世界のリーダー的存在です。当施設では、手術による熱凝固や電気刺激、低侵襲なガンマナイフや集束超音波(現在準備中)など、あらゆる方法により、視床に凝固巣を作成することができます。患者様の背景などに応じたより良い治療方法を提供できます。
全身性ジストニア、斜頚(頚部ジストニア)、遅発性ジストニアなど
下肢を含む体幹部など広範囲にジストニアが発症するものを全身性ジストニアといいます。身体が捻じ曲がったり、反り返ったりするなどの姿勢の異常などが見られます。また、首が傾いたり、横を向いたり、後ろに反り返ったりした状態の姿勢や、反復する運動が見られるものは、頚部ジストニアといいます。長期的に抗精神病薬を内服したあとに発症するジストニア(首や体幹の反り返りが多い)は遅発性ジストニアといいます。これらの症状は淡蒼球への脳深部刺激術や熱凝固が著しく有効です。また、頚部ジストニアにおいては、症状によって、頚部運動に関与する神経を遮断する手術(末梢神経遮断術)によっても改善することができます。