バセドウ病
バセドウ病眼症
バセドウ病の眼の症状はさまざまです。一部の症状は甲状腺機能を正常化することによって改善しますが、眼の症状と甲状腺機能は必ずしも平行しません。眼症がひどくなると機能上、美容上も問題となります。
悪性の眼症では失明することもあります。悪性の眼症の治療に関しては内科医だけでは限界があり、眼科専門医による治療が必要となります。
眼突に対する治療法としてはステロイド療法、放射線治療(眼球後部の組織へ放射線をかけて炎症をおさえます)、あるいは手術(眼筋の癒着をはがして眼球の運動を滑らかにしたり、眼の後ろの部分の圧力を減らすことを目的とします)が行われます。眼球突出のために睡眠中にも眼が閉じない場合には保護のため目薬や眼帯を使用します。
バセドウ病眼症の原因は完全には分かってはいませんが、眼球の後ろにある脂肪細胞や眼球を動かす外眼筋に甲状腺と同じようにTSH受容体が存在し、甲状腺刺激抗体が結合することにより抗原抗体反応よりリンパ球の浸潤と炎症反応が生じる浮腫をきたす。またTSH受容体が活性化され脂肪細胞が増加したり、結合組織や筋肉組織に水分を貯留させる高分子であるプロテログリカンやヒアルロン酸(glycosaminoglycan)が畜積し、眼球の後ろの容積が増大して眼球が前に押し出されてしまう(眼突)と考えられています。
バセドウ病眼症のある患者様のMRI所見です。上に示した写真では外眼筋(内直筋)の肥大とむらが認められ筋肉の浮腫が起こっていると考えられます。まだ、筋肉が腫れたため眼球は前に押されて眼球突出を生じています。
下の写真では筋肉の腫れはそれほどではありませんが、脂肪組織(眼球の後ろ)が多くなり眼球が前に押され眼球突出を認めます。
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