原発性肺癌は現在日本人の死因の中で最も多い癌であり、その数は年々増加傾向にあります。肺癌に対する治療の基本は腫瘍の完全切除であり、標準術式は肺葉切除+縦隔リンパ節郭清術です。
一方で、肺癌CT検診の普及など診断技術の向上に伴い、従来発見できなかったような早期肺癌が見つかるようになり、そのような早期肺癌に対しては、肺機能温存を考慮した根治的手術として区域切除も積極的に行っています。当科における肺癌手術の9割は胸腔鏡下に施行しております。傷が小さい分、美容上優れているだけでなく、痛みも軽く体力の消耗も少ないため、回復が早いことが、最大の利点です。
特に区域切除においては当科独自開発のソフトウェアで構築した3次元肺画像を用いた術前シミュレーション、術中ナビゲーションを行い、正確で低侵襲な胸腔鏡下区域切除を施行しています。
一方で、局所進行肺癌に対しては術前化学療法、放射線療法と手術を組み合わせた集学的治療を施行しています。
2012年からは、早期肺癌に対してはロボット支援装置(Da Vinci S Surgical system®)を用いた手術も開始し、2018年4月からは肺悪性腫瘍に対するロボット支援下肺葉切除術を保険診療で開始致しました。