生化学?免疫検査では、採取した血液?尿などに含まれる成分を、自動分析装置を用いて検査をしています。
血液中(尿中)に含まれる『たんぱく質、脂質、電解質、糖質、ホルモンや腫瘍マーカー』などを測定?分析し、疾患の診断や治療、経過観察などに必要な各臓器の検査項目を調べます。
自動分析装置や検体搬送システムを用い、主に血液中の成分を測定し各臓器の機能を調べます。
主な項目 | |||
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検査項目名 | 基準値 | 意義(何がわかるか) | |
総蛋白 | 6.5~8.2 g/dL | 血清中の蛋白質の総量を示します。栄養状態、肝機能を推測します。 | |
アルブミン | 3.8~5.1 g/dL | 血清中の蛋白質で最も多い成分で、栄養状態、肝機能を推測します。 | |
総ビリルビン | 0.2~1.2 mg/dL | 血液中の血色素が分解されてできる成分で、肝機能の低下や胆道系の異常を推測します。 | |
直接ビリルビン | 0.2 mg/dL 以下 | 肝臓の障害や黄疸の種類を推測します。 | |
AST | アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ | 13~33 U/L | 肝臓、心臓、骨格筋などに多く分布している酵素で、これらの臓器の障害を推測します。 肝疾患、心疾患(心筋梗塞等)、骨格筋疾患などが疑われる場合に検査します。 |
ALT | アラニンアミノトランスフェラーゼ | 6~30 U/L | 肝臓に多く含まれる酵素で肝組織の障害を推測します。 肝疾患が疑われる場合に検査します。 |
LD | 乳酸脱水素酵素 | 119~229 U/L(JSCC法) 119~229 U/L(IFCC法) |
体内の多くの臓器に存在し、障害された臓器と障害の程度を推測します。 肝疾患、心疾患(特に心筋梗塞)、血液疾患などが疑われる場合に検査します |
ALP | アルカリフォスファターゼ | 115~359 U/L(JSCC法) 38~113 U/L (IFCC法) |
骨、小腸、肝臓、胎盤、腎臓などに多く分布している酵素です。 肝胆道系疾患、胆汁の排泄障害、骨代謝異常などが疑われる場合に検査します。成長期の小児、妊娠、悪性腫瘍などでも高値を示すことがあります。 |
γ-GTP | γ-グルタミールトランスペプチターゼ | 男 11~58 U/L | 肝胆道系の異常、アルコール性の肝障害を推測します。 肝障害が疑われる場合、胆汁のうっ滞の指標として検査します。 |
女 6~46 U/L | |||
CK | クレアチニンキナーゼ | 男 62~287 U/L | 骨格筋、心筋などに含まれる酵素で、これら筋肉の障害の程度を推測します。 神経?筋疾患、心筋梗塞などが疑われる場合に検査します。 |
女 45~163 U/L | |||
CK-MB活性 | クレアチニンキナーゼ-MB活性 | 12 U/L 以下 | 心筋に多く含まれ、心筋梗塞の経過で検査します。 |
BUN | 尿素窒素 | 8.0~20.0 mg/dL | 蛋白代謝の終末産物で、腎不全の存在、蛋白の異化作用の有無などを推測します。 主に腎機能のスクリーニング検査として検査します。 |
クレアチニン | 男 0.69~1.06 mg/dL | 腎臓から排泄される老廃物で、腎機能の排泄機能の指標となります。 | |
女 0.48~0.79 mg/dL | |||
ナトリウム | 135~145 mEq/L | からだの水分とミネラルのバランスが崩れた場合に異常値を示します。 むくみ、嘔吐、下痢、適正な利尿剤投与などを調べる場合に検査します。 |
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カリウム | 3.4~4.9 mEq/L | ||
クロール | 98~108 mEq/L | ||
血糖 | 75~109 mg/dL | 血糖(グルコース)は筋肉や脳のエネルギー源です。グリコヘモグロビンA1cは過去1~3ヶ月、グリコアルブミンは過去2週間前後の血糖値を反映します。糖尿病の診断や治療指標に用います。 | |
グリコヘモグロビンA1c | 4.6~6.2 % | ||
グリコアルブミン | 12.5~16.7 % |
特殊な測定器を用い体内に微小に存在するホルモンや腫瘍マーカー、また感染症の診断に必要な検査です。
主な項目 | ||||
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検査項目名 | 基準値 | 意義(何がわかるか) | ||
ホルモン | FT3 | 遊離トリヨードサイロニン | 2.40~4.00 pg/mL | 身体のエネルギーを調節する重要な働きをするホルモンです。 甲状腺機能異常や治療経過を判定する場合に検査します。 |
FT4 | 遊離サイロキシン | 0.94~1.60 ng/dL | ||
TSH | 甲状腺刺激ホルモン | 0.610~4.230 mIU/L | 甲状腺ホルモンの分泌を調節するホルモンです。 甲状腺ホルモンと同時に検査をし視床下部-下垂体-甲状腺系の機能評価の指標として検査します。 |
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IRI | インスリン | 1.4~13.0 μIU/mL | 血糖の調節をするホルモンです。 糖尿病の病態の把握が必要な場合に検査します。 |
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GH | 成長ホルモン | 未設定 | 成長の促進や糖、蛋白などの代謝に関与しているホルモンです。 小児期や思春期での発育遅延や低身長症などが見られた場合、逆に著明な身長の増加や手足の先端肥大などが見られた場合に検査します。 |
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腫瘍マーカー | CEA | 5.0 ng/mL 以下 | 消化器系や肺など様々な臓器での悪性腫瘍の存在を示唆する場合、治療後の経過観察や治療効果判定を行う場合に検査します。 | |
AFP | 10 ng/mL 以下 | 主に肝細胞癌を疑う場合、治療の経過観察や治療効果判定を行う場合に検査します。 | ||
CA19-9 | 37 U/mL 以下 | 消化器系腫瘍、主に膵臓、胆道系の腫瘍を疑う場合、治療の経過観察や治療効果判定に行う場合に検査します。 | ||
CYFRA | 3.5 ng/mL 以下 | 肺癌、特に肺扁平上皮癌を疑う場合、治療の経過観察や治療効果判定を行う場合に検査します。 | ||
PSA | 4.00 ng/mL 以下 | 前立腺の異常、特に前立腺癌を疑う場合、治療の経過観察や治療効果判定を行う場合に検査します。 前立腺炎、前立腺肥大でも高値になります。 |
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感染症 | HBs抗原 | (-) 0.03 IU/mL 未満 | B型肝炎ウイルスに感染している状態かが分かります。 陽性の場合は現在B型肝炎ウイルスに感染している事を意味します。 |
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HBs抗体 | (-) 5.0 mIU/mL 未満 | B型肝炎ウイルスに感染していたかが分かります。 陽性の場合は過去にB型肝炎ウイルスに感染していた事を意味します。 またB型肝炎ワクチンの接種効果の判定に用います。 |
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HCV抗体 | (-) 1.0 C.O.I. 未満 | C型肝炎の診断、既往を疑う場合に検査します。 陽性の場合はC型肝炎に感染している事を意味します。 |
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TP抗体 | (-) COI | 梅毒の感染を疑う場合に検査します。 TP抗体と脂質抗体を同時に検査することで梅毒の病期が分かります。 |
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脂質抗体 | (-) R.U. |
免疫抑制剤、抗てんかん薬などの検査を行っています。
主な項目 | ||
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検査項目名 | 基準値 | 意義(何がわかるか) |
タクロリムス | 未設定 | 移植した臓器の拒絶反応を抑制したり、関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療に用いる薬です。 薬の効果に個人差が大きいため血中薬剤濃度を指標として投与量や投与方法の管理のために検査します。 |
シクロスポリン | 未設定 | |
カルバマゼピン | 4.0~12.0 μg/mL | 脳内の細胞に発生する異常な神経活動を起こすてんかんの治療に用いる薬です。 治療域と有毒域が近いため血中薬剤濃度を指標として投与量や投与方法の管理のために検査します。 |
バルプロ酸ナトリウム | 50.0~100.0 μg/mL | |
ゲンタマイシン | Peak 16.0~24.0 μg/mL | 細菌の増殖を抑制したり殺したりするために用いる薬です。 有効血中濃度の維持、耐性菌の発生を抑制するために血中薬剤濃度を指標として投与量や投与方法の管理のために検査します。 |
Trough 1.0 μg/mL 以下 | ||
バンコマイシン | Peak 40.00 μg/mL 以下 | |
Trough 10.00~15.00 μg/mL |
生化学検査