苦痛なき内視鏡検査を目指して!
2010.01.01教授(所長) 前田 淳
皆様方はすでにご存知のように、日本人の癌といえば胃癌といわれているように胃癌は罹患率、死亡者数でも我国において代表的な癌であります。
しかし、近年では早期の時点で発見された場合は、ほとんどの人が胃癌で命をおとすことはなくなってきています。早期発見のためには症状の有無にかかわらず、定期的に胃X線検査あるいは胃内視鏡検査を受けておくことが肝要です。
さて、胃内視鏡検査は食道、胃、十二指腸内を直接観察することが可能なため、胃癌の早期発見に大きな威力を発揮してきました。しかし、胃内視鏡検査はつらく、苦しい検査という認識があることも事実であります。つらさを克服するために内視鏡挿入部の細径化や鎮静剤を用いた検査(静脈麻酔下内視鏡検査)などの工夫がなされてきました。そして、最近、口から入れるのではなく鼻から入れる、いわゆる経鼻内視鏡検査が開発され注目を集めています。
経鼻内視鏡検査の最大の特徴は咽頭反射(吐き気)がほとんどない点であります。従来の口から内視鏡を入れる場合は舌の奥にある舌根に触れるため、程度の差こそあれ、どうしても咽頭反射が起こってしまい、ゲエー、ゲエーと吐き気をもよおしてしまいます。しかし、鼻から入れる場合は鼻腔から直接、食道から胃に入れることで舌根に触れることなく検査ができますので、咽頭反射が起こらないため苦しくないのです(図1)。鼻から入れるのですから口から入れる内視鏡よりかなり細くなっています。しかし、細くなったからといって画像の劣化はなく、口から入れる内視鏡と同様にきれいな画像が得られ、組織も採取できます(図2)。また、アンケート調査により、どの健診施設においても『次回の胃内視鏡検査は経鼻で』と90数%の人が答えています。私自身も何回か検査を受けましたが、ともかく楽でした。
当センターにおきましても、経鼻内視鏡検査を導入しています。嘔吐反射の強い方、ご高齢の方、静脈麻酔下内視鏡検査を施行していた方などには是非、経鼻内視鏡検査をお勧めします。
なお、経鼻内視鏡検査に関するご質問がございましたらご遠慮なく、当センター消化器内科の医師にご相談下さい。
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